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スメイルの18の問題の中でも、特にこの問題12は「一体何を聞いてるの!?」と戸惑う人が多い、超・抽象的な問いです。
最も玄人向けの研いだという言うこともできるでしょう。
でも実はこの問題、「シンプルな動きの中に、どれだけ隠れた対称性があるか?」という、力学系の“隠し味”を探るような話なんです。
ポップに言えば:
「関数Tって、T自身やその反復(T²、T³…)以外に、Tと仲良くできる写像(=可換なもの)っているの?」
「いやいや、TとT²以外は全部“空気読まない”写像だったりしない?」
そんな関数の“孤立性”に関する問題です!
まず用語をおさらいしましょう。
簡単に言うと、
「滑らかで、逆写像も滑らかな写像」のこと。
たとえば:
これが微分同相写像です。
数学的には、位相空間や多様体の構造を壊さずに変形する“滑らかな変形”と思ってOKです。
以下に出てくる記号のDiffは、この「diffeomorphism(微分同相写像)」の略です。
Diff r (M)と書いたときは、
「中心化群」と聞くと難しそうですが、実はこんな内容です。
ある写像 T と“可換”なすべての写像の集合
つまり、
「Tと同時に使っても、順番を入れ替えても結果が変わらない写像たち」
を集めたのが「中心化群(centralizer)」です。
数式で書くと、ある関数 T に対して、
これが Tの中心化群です。
ここでスメイルが投げかけた疑問は、ずばりこれ:
「TとTⁿ(n回繰り返し)だけしか可換な写像がないTって、たくさんある?」
つまり、「中心化群が“ほぼ自明”なT」が一般的なのか、という話です。
たとえば:
スメイルの問いはこれを微分同相写像全体の空間 Diffr(M)\mathrm{Diff}^r(M)Diffr(M) の中で考えたときに、
中心化群が“自明”(=Tの反復しかない)な写像が稠密に存在するか?
というものです。
あなたが主催のダンスイベントで、Tさんというダンサーがいます。
Tさんが踊りだすと、他の人たちが「じゃあ自分も」と動き出す。でも、Tさんは特殊なステップを踏むので、誰とも息が合わない。唯一合わせられるのはTさんのコピーだけ(TさんがT²、T³と繰り返すような人たち)。
そんな「孤高のダンサー」がたくさんいるとわかってきたわけです。
でも、もっと優雅なダンサーの世界(=C²以上)では、まだその孤高さが証明されていません。
果たしてTさんはどの世界でも“唯一無二”でいられるのでしょうか?🕺✨
この難問に対して、2009年に進展がありました!
つまり、
滑らかさが「そこそこ」なら、この孤独な写像はけっこう身近にいる!
ということです。
これ、ぱっと見はニッチすぎる問題に見えますが、実はかなり本質的なテーマです。
今回はけっこう抽象的で、小難しい問題でしたね。でも大丈夫。次回はもっと視覚的!『ローレンツアトラクタはストレンジアトラクター?』をカオスと一緒にひも解きます!お楽しみに!