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科学技術の世界における「偶然が生んだ発明発見」という言葉として「セレンディピティ」という言葉が知られている。これの語源は中世の御伽噺である。その語源について解説する。
セレンディピティのほかに、擬セレンディピティという概念も存在する。これらの違いを解説するとともに、代表例を見ていく。
語源は中世アラビアのおとぎばなしである。
セレンディップとはセイロン島、つまりスリランカのもともとの地名である。この国の王が3人の王子に勉強させるため国をいったん追い出した。
このあとのたびの最中に、偶然によって幸運にもただしい発見をし、危機を乗り切る、という物語がつづく。
この物語は最後にハッピーエンドでおわるらしい。
直接的なセレンディピティという言葉は1754年のウォルポールがマン卿へあてた手紙に出てくる。彼は「セレンディップの3人の王子」の感想を送った。
この時代には、「ZADIG」というタイトルのヴォルテールの小説にセレンディップの3人の王子の話を取り入れたものが出版されており、この本をもとにしてもとのおとぎ話を読んだ人が増えた。
1939~59までの辞書には載っていないが、1974以降は「セレンディピティ」が出てくる。こののち、一般名詞化した。
いくつかの研究者は、セレンディピティの種類をさらに分類し、個別に名前をつけている例もある。
セレンディピティ・・・とくに研究課題の解決を考えていない時に、何らかの偶然の発見をし、のちにそれが発見や発明につながった場合。
擬セレンディピティ・・・もともとある研究課題を解決しようとしている時に、なんらかの偶然が助けになってその課題を解決できた場合。
研究の場面で見つかるものは圧倒的に擬セレンディピティのほうであるが、一般には、厳密にこれらを区分することはめったになく、どちらもセレンディピティと呼称する。ようするに両者の違いは、偶然に出会った場面が研究に取り組んでいるときか、そうでないかといったところである。
科学者たちも、偶然の発見について、セレンディピティとにたような概念を感じていたようで、有名な科学者が重要性を表現している。
あるいは、
白川英樹の功績がこの言葉を日本で広めるのに大きな役割を示した。
白川氏の研究は導電性ポリマーを作ることであったが、研究中の学生が誤って混ぜ合わせる材料の分量を大量に入れてしまったことで、偶然、かつてない成果ができたことに由来する。
2002年にノーベル化学賞受賞。この時の経験がくりかえし報道されたことで、日本にも「セレンディピティ」という言葉が広まった。
その後は、「セレンディピティ」は一般的にもつかわれるまでにはいたらないものの、科学が好きな人の間では少なくとも知られた言葉となっている。