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逆立ちゴマ(起き上がりゴマ)は、一見すると重心が高くなるので非常に不思議な振る舞いに見える。そしてこの問題は長い間の物理学の難問でもあった。この立ち上がる原理と歴史を解説する。
なお、ゆで卵も倒した上体で回転させると立ち上がることが知られている。これも原理はほぼ同じである。
まず、回転ゆで卵が立ち上がる原理を解説する。
ジェレット定数は摩擦しながら回転する物体に関する定数で、回転数(Ω)と重心の高さ(h)の積であらわされ、この積は回転している間は一定である。
したがって、回転数が大きいときは高さは低い状態になっているが、摩擦によって回転数が落ちてくるとジェレット定数が一定なのでその分次第に重心位置が上がってくる。
逆立ちゴマの原理は、同じような流れで説明できる。
1.こちらも丸みを帯びた摩擦面の関係でジェレット定数が一定。重心の高さと回転数の積に比例する。
2.摩擦で回転数がおちると、ジェレット定数は一定なので、その分重心を上げようとする。
3.起き上がってしばし安定する。これ以降、軸の状態は普通のこまと同じような軸になるので、挙動は普通のこまのようになる。
4.普通のこまと同じく、回転数が落ちてとまる。
こまがなぜ重心が高い位置にあるのに、回転によって安定を保つのか、は、物理学者や数学者が興味を持った課題であった。まず、コマの研究はオイラーにはじまる。オイラーがその一番簡単な原理の解明に成功し、理論的なモデルを作り上げた。このモデルは、「オイラーのコマ」と呼ばれている。
ついで、別のモデルとして「ラグランジュのコマ」が発表される。これはもちろん、ラグランジュによる理論モデルである。
ほかにも、時代が下って女性数学者コワレフスカヤによる「コワレフスカヤのコマ」も有名なモデルとなった。
回転する卵は、ケルヴィン卿ことウィリアム・トムソンが始めたといってもよい。かれは中に液体が詰まった物体の回転について考察している。もっとも、それ以降はあまりこの問題を深めようとはしなかったようである。
回転するゆで卵は、さらに拘束で回転させると接地面が0になる、つまり、ジャンプする、という可能性がコンピュータシミュレーションによって明らかにされ、実際に高速回転機械で回転させることでジャンプする卵の撮影に成功している。