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2023年に公開された映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』では、物語の冒頭に「ロンギヌスの槍」が登場します。
インディ・ジョーンズといえば、「秘宝」や「神話的遺物」が登場する冒険映画として知られていますが、今回はあのキリスト教伝説の遺物「聖槍」がその焦点に据えられました。
しかしこの槍、実は現実にもいくつか「本物かもしれない」と言われる候補が存在しています。
それどころか、レプリカも歴史上に実在し、ナチスまでが関与していたとされる、まさに歴史と伝説の交差点にある遺物です。
この記事では、
といった点をじっくり解説していきます。
メインのお宝である「ダイヤル」の元ネタはこちら↓
まずは、ロンギヌスの槍そのものについて簡単におさらいしましょう。
キリスト教の福音書によれば、イエス・キリストが十字架上で絶命した際、その脇腹をローマ兵が槍で刺したと記録されています。
この兵士の名前が「ロンギヌス」であり、彼の使った槍こそが、後に「聖槍(Holy Lance)」あるいは「ロンギヌスの槍」と呼ばれるようになったのです。
この槍には、「神の力が宿っている」「持ち主は世界を征服する力を得る」といった伝説がつきまとい、歴史を通して数々の王や独裁者が興味を示してきました。
ここが最も興味深い点ですが、実は「これが本物だ」とされるロンギヌスの槍は、世界に複数存在します。
候補として知られているものを見てみましょう。
「最も古いものこそ、本物に近いといえるかも?」という視点から代位表的なロンギヌスの槍を比較検証していきます。
項目 | アルメニア(エチミアジン大聖堂) | バチカン(ローマ) | ウィーン(ホーフブルク宮殿) |
---|---|---|---|
伝承の起源 | 使徒タデウスが1世紀に持ち帰ったとされる口伝あり | 4〜6世紀の教父文献に登場 | 9世紀に神聖ローマ皇帝の所有物として伝承開始 |
文献への登場 | 明確な記録は13世紀以降 | 教会史家らによる6世紀の記述あり | 10世紀、オットー1世の戴冠式で使用された記録あり |
現物の保存状況 | シンプルな槍頭が保存されている | 断片があるが非公開 | 槍頭が完全に残存、装飾・構造も確認可能 |
文献との一致性 | 記述が乏しく整合性は不明 | 記録と現物の関連が曖昧 | 文献記述と現物の構造が高い精度で一致 |
科学的分析 | ほとんど行われていない | 非公開のため不明 | 材質分析で7〜8世紀製と判明(=1世紀ではない) |
ただし、記録が後世にしか登場しない点と、現物の科学的分析が不足している点がネックです。
早くから「ローマに槍がある」という記録が出現しますが、現物が断片的かつ非公開のため、検証が困難です。
中世初期には神聖ローマ帝国の象徴とされており、最も「視認できる歴史性」があると言えるでしょう。
ウィーンのホーフブルク宮殿に保管されている「聖槍」は、20世紀後半に科学的な材質分析が行われました。
その結果――
🔬 この槍の金属部分は1世紀のローマ時代のものではなく、7〜8世紀の製造と判断されました。
つまり、イエス・キリストが処刑された紀元1世紀の槍ではないというのが、現代科学による結論です。
とはいえ、この槍が長年にわたり神聖ローマ皇帝の象徴とされ、信仰と政治の中枢で扱われてきた事実に変わりはありません。
映画『運命のダイヤル』では、敵方の研究者であるユルゲン・フォラーが、冒頭に登場する槍が合金であることに気づき、レプリカであることを見抜くシーンがあります。
これはまさに、現実世界でも「レプリカの槍」が歴史上に存在していたことを反映している描写です。
たとえば:
つまり、「象徴としての聖遺物」としての槍が各地で作られ、政治的・宗教的シンボルとして使われてきたという事実があります。
映画の中で、ロンギヌスの槍が積まれていた列車は、ナチスが終戦間際に隠したとされる「ナチスの黄金列車」をモチーフにしています。
この伝説は、第二次世界大戦末期にポーランド南西部の地下に財宝を積んだ列車が隠されたというもので、今なお「未発見」とされています。
ヒトラーやナチスが「聖槍」にこだわっていたという話もあり、
がこの伝説の背景にあるのです。
映画『運命のダイヤル』は、この「ナチス+聖槍+財宝列車」の要素をうまくミックスしたストーリー展開になっており、史実をもとにしたフィクションとして非常に巧妙です。
最後に今回のポイントを整理します。
もしあなたが実物を見てみたいなら、ウィーンのホーフブルク宮殿宝物館を訪れてみるのがおすすめです。
また、アルメニアやバチカンにも違ったかたちの「聖槍」があるため、信仰・歴史・伝説が交錯する奥深い世界を感じることができるでしょう。
神話と現実が混じりあう聖遺物のロマンは、これからも人々を惹きつけてやみません。