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今回は17世紀に本気で「永久機関」を考えたある聖職者のお話をお届けします。
「永久に動き続ける機械」があったら、どんなに素敵でしょう。
電気代ゼロで、環境にも優しくて、ずっとぐるぐる回り続けてくれる……。そんな夢の装置を考案したのが、ウィルキンス司教という人物なんです。
仕組みは結構シンプルですが、果たして本当に動くのか?
それではいってみましょう👇
ジョン・ウィルキンス(John Wilkins)は、17世紀イギリスの聖職者であり、自然哲学者でもありました。
彼はただの宗教家ではありません。なんと!ロンドン王立協会(現在の英国王立協会、Royal Society)の創設メンバーの一人!
つまり、科学の世界でもバリバリ活躍していた超知識人です。
そんな彼が1648年に出版した本が、
📘「Mathematical Magick(数学の魔法)」
この本では、古代の機械装置から当時の最新テクノロジー、そしてちょっぴり怪しい機械まで、いろんな“動くモノ”の話がてんこ盛り。その中に登場するのが――そう、永久機関なんです!
その中でウィルキンス司教は、磁石と鉄球と坂道を使ったとってもユニークな装置を考えました。
この装置は、磁石、坂道、鉄球を使ったものです。彼の装置をざっくり説明すると、こんな感じ👇
……という流れを繰り返すことで、「永久に鉄球が転がり続けるのでは?」という発想です。
頭の中で描いてみてください。
ぐるぐる、ぐるぐる、鉄球が転がる……音もして……う〜ん、ロマンですね!
ここで科学の出番です。
結論を言えば――
この装置、永久には動きません!😢
なぜか?理由はちゃんとあります。
磁石の力で球を坂の上まで引っ張り上げるのはいいんですが、その力が強すぎると、球が穴に落ちてくれません。
逆に、引力が弱いと球が坂を上がってくれない。
要するに、「登らせる力」と「落とす仕組み」が同時に成立しないんです。詰んでます。
理論上は“スムーズに”転がって戻ってくる設計でも、実際には摩擦や空気抵抗があるんです。
鉄球が坂を上がったり転がったりするたびに、少しずつエネルギーが失われていきます。
だから、いずれ止まる。
物理法則に従う限り、エネルギーを“どこからも足さずに”無限に生み出すことは不可能。
熱力学第一法則(エネルギー保存)と第二法則(エネルギーの質の劣化)によって、永久機関は理論的にも否定されています。
面白いのは、ウィルキンス自身が「この装置、もしかして無理かも……」って気づいていた節があるんです。
『Mathematical Magick』の中で、彼はこう述べています:
「このような機械は、理論的には魅力的に思えるが、実際には様々な理由で動作しないことがわかるだろう。」
なんと、自分でツッコミを入れていた!
でも、それでも提案したということは、当時の「自然の力で何かが永遠に動くかも?」というワクワク感が、彼の中にあったのでしょう。
実はウィルキンス司教は、永久機関の可能性を探るうえで、次の3つの「力の源泉」を真剣に考えていました。
これら3つの力の源泉は、17世紀当時の科学の理解の最先端を反映していて、ウィルキンスはどれが永久機関の鍵になるか、じっくり探っていました。
ただし、現代の科学では、どれも「完全な永久機関の動力源にはなりえない」とされているのですが……。
その理由や実際の構造の話は、先ほど紹介した「磁石+坂+鉄球」の例がまさにこれに該当します。
最後に、今回のお話のポイントを箇条書きでおさらいしましょう!
ウィルキンス司教の永久機関は、小学生でも簡単な材料で作れそうですね。でも、まず坂を上らせるのが難しいでしょう。