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永久機関File31:コングリーブの永久機関!スポンジで回るはず?

今回は、永久機関の歴史にまたひとつ珍妙な伝説を刻んだ「コングリーブの永久機関」について掘り下げていきますよー!

「スポンジで回る…永久機関?」「なにそのふわふわ理論ww」なんて思ったあなた。そう、今回もぶっ飛んでるんです。でも、笑いごとじゃない。実はこの発明(?)の裏には、意外なドラマと人物像が隠されているんです…!

ではさっそく、エネルギー保存則にケンカを売った(でも失敗した)夢の装置をご紹介!


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◆ コングリーブの永久機関とは?

まず、「コングリーブの永久機関」って何?というところから。

19世紀ごろのイギリスで、この奇想天外な装置を提案したのが、ウィリアム・コングリーブ(William Congreve)という発明家です。

生年-没年は1772年 – 1828年です。彼は貴族でもあり、ロケット兵器の発明などで知られるなかなかの有名人。

引用:https://todayinsci.com/Books/MechApp/chap23/page32.htm

で、肝心の“永久機関”ですが…ざっくり言うと、円形のホイールにスポンジが並べられ、毛細管現象を利用して水が移動し、その重みでホイールが永遠に回り続けるというアイディアです。

はい、ピンとこないですよね。簡単に言えばこうです👇


■ 装置の仕組み

  1. 直角三角形の形の台を用意する
  2. 台の周りにの周囲にチェーンを巻き付けスポンジを均等に配置し、その周囲にはある程度の重さのベルトを巻いておく
  3. 下部の水槽から毛細管現象で水が吸い上げられる
  4. スポンジに水が含まれることで重くなる
  5. 重くなった側が沈んでチェーンが回る(図の矢印の方向)
  6. 反対側から出たスポンジは、斜面に上る
  7. 斜面ではベルトの重みでスポンジから水が絞り出され、軽くなる
  8. 軽くなったスポンジは垂直の方に回り、また毛細管現象で水を吸って…
  9. 永久に回転!

……いや、回るわけがない!😂

ですが、この永久機関はいわゆる「水を使う系」の永久機関としてはトップレベルに有名です。なかでも、毛細管現象を使ったもののひとつです。

なぜ有名なのかといえば、ビジュアルが強烈だからですね。

◆ 当然、回りません

「これ本当に動くの?」って思った方、大正解です。

この装置、もちろん動きません

まず基本的な物理法則として、毛細管現象はエネルギー源ではありません

毛細管現象は液体が細い管の中を自発的に上昇する現象ですが、それも非常に限られた条件下での微小な上昇。

重力に逆らって大量の水を吸い上げ、さらにホイールを動かすほどの力になるなんて、完全に物理法則ガン無視

エネルギー保存則、慣性の法則、重力、摩擦…
あらゆる理系の神々が「無理」と叫んでおります。

とはいえ、当時はまだ今ほど厳密な物理法則の理解は一般的ではなかったため、「もしかしてこれイケるんじゃね?」と本気で考えていた人がいても不思議ではありません。


◆ コングリーブって何者?じつは名のある発明家だった!

さて、ここで気になるのがこの装置を考えたウィリアム・コングリーブという人物。名前からしてなにか高貴な感じがしますが、実際に彼は第2代準男爵という肩書きを持つ、れっきとしたイギリスの貴族です。

が、ただの貴族じゃない!

彼の人生は発明に捧げられており、生涯で18件の特許を取得。以下がそのリストの一部です。

🔧 コングリーブ発明品コレクション(抜粋)

🧨 ロケット兵器(コングリーブ・ロケット)
→ ナポレオン戦争や1812年戦争で大活躍!

🛠 大砲の反動装置
→ 砲撃の衝撃を軽減する画期的システム。

🕓 時限信管
→ 爆発タイミングをコントロール可能に!

🪂 ロケット用パラシュート付属品
→ 落下速度を抑えるための装備。

🌊 油圧式運河閘門&水門(1813年)
→ 実際にロンドンのハムステッド・ロードで使用!

🎨 カラー印刷法(1821年、ドイツで普及)
→ 当時画期的だった多色印刷技術!

つまり、永久機関でやらかしたとはいえ、根っからのダメ人間ではなかったんです。むしろ、「無限エネルギー」を夢見る理系男子の象徴というか…ロマンを信じて突き進むその姿勢、嫌いじゃないですよね。


◆ 永久機関はなぜ人を魅了するのか?

「そもそも、なんでこんな永久機関なんて考えるの?」

それはきっと、人類の夢だから。

・エネルギーを無限に生み出せたら?
・燃料いらずで一生動き続ける機械ができたら?
・地球にも財布にもやさしい未来が待っている?

…そんな夢のような未来を、いつの時代も誰かが追いかけてきたんです。

だからこそ、永久機関はロマンのかたまり
でも現実は甘くない。やっぱり物理法則は偉大です。


◆ まとめ:コングリーブの永久機関は動かないけれど

さて、今回は「コングリーブの永久機関」というちょっと笑える、でもどこか心がほっこりする発明をご紹介しました。

📝 要点まとめ:

  • コングリーブの永久機関は、スポンジと毛細管現象でホイールを回すという発明だった!
  • 実際には物理法則に反しており、回りません!
  • 発明者ウィリアム・コングリーブは、ロケット兵器を開発した有能な発明家でもあった
  • 永久機関の発想には、人類の夢とロマンが詰まっている
  • 現代科学では永久機関は不可能とされていますが、アイデアを考えること自体は悪くない!

永久機関シリーズって、毎回「どうしてそうなった!?」って笑っちゃうようなものばかり。でもそれがいいんです。
エネルギー効率だの物理法則だのがわからなくても、「こんな風に回ったらおもしろいな〜」って妄想するところから科学は始まるのかもしれません。

haccle