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今回は永久機関Fileとして、奇想天外な「永久機関」ネタをお届けします。
なんと今回の主役は……風車!
「え、風車ってあの風でクルクル回るやつでしょ?それが永久機関になるの?」
と思ったそこのあなた。今回はその先を行くんです!
なんと――
「風車で風を起こす」という、まさに自己完結型の夢システムを考えた人がいるんです!
それが今回の主役、ズィマーラさん!
ということで、いってみましょう!
ズバリ言いましょう。
ズィマーラの風車とは:
風車がふいごを動かし、そのふいごが風を起こして、また風車を回す
という、完全なる自給自足スタイルの永久機関です!
ちょっと待って!?!?
「自分で自分に風を送って回る風車」って、そんなことできたら人類エネルギー問題解決してない??
……ですよね?
でも、そう簡単にいかないのが永久機関の沼なのです。
まずは発明者であるズィマーラ(Mark Anthony Zimara)さんについて簡単に紹介!
ズィマーラは、アリストテレスやアヴェロエス(イブン・ルシュド)などの注釈を多数残した、スコラ哲学の一大知識人です。
そんな彼が考えたのが、風車 × ふいご連動式永久機関だったのです!
さっそくその謎の装置の仕組みを見ていきましょう!
最初に自然の風を受けて、風車がくるくる回転します。
風車の回転が、ギアやカム機構を通じて「ふいご(送風装置)」に伝わります。
ふいごがパクパク動くことで、風を生み出します。
ふいごから発生した風が再び風車に吹きつけることで、風車がまた回り続ける!
いや〜、見た目は完全に理にかなってますよね!?
まさに「自分で自分にエネルギーを送り続ける」装置!
…と、ここまでは絵に描いた餅ならぬ、風に吹かれた夢。
ここが核心です。
答えは……残念ながら
動きません!!!!
なぜなら、世の中には恐ろしい法則があるんです。そう――
「出したエネルギーは、どこかから来てるんだから、勝手に増えないよ〜」
「エネルギーって、一方通行でちょっとずつ使えなくなってくからね〜」
ここにこの永久機関の根本的な勘違いがあります。
ズィマーラの構想では、
でも現実では:
つまり:
回る → ちょっとエネルギー失う → 次の回転は弱くなる → どんどん減速 → 止まる
という流れになるんです。
ズィマーラの装置は、結局、外からの風が最初のきっかけになります。
じゃあ、その自然の風を使って風車を回せばいいじゃん!
ふいごとかいらないじゃん!!
という、本末転倒な結論に落ち着くわけです(笑)
ズィマーラはバカだったわけではありません。むしろ天才です。
当時(15〜16世紀)は、熱力学もニュートン力学もまだ存在していない時代。
人々は「自然の力をどうにか閉じ込めて、無限に使えないか?」と真剣に考えていました。
ズィマーラの風車も、そんな「永遠の動力源を求めるロマン」のひとつだったのです。
ズィマーラの風車は、現代では「出力を入力に戻す型の永久機関」と分類されます。
英語では「Closed-Loop Perpetual Motion Machine(閉ループ永久機関)」と呼ばれることも。
こういった装置は、
という点でロマンに満ちてますが、理論的にも実践的にも不可能とされています。
ズィマーラの風車は、風車とふいごを組み合わせて自分で風を生み出す永久機関という、非常にユニークな発想でした。
でも現実には、エネルギーの損失(摩擦・熱・空気抵抗など)によって、
どんどん動きが弱まり、永遠には回り続けることはできません。
とはいえ、中世の学者たちが「どうにかして自然の力を閉じ込めよう」とした試みは、
今日の風力発電や再生可能エネルギーの思想につながっているといっても過言ではないかも?
今回も、永久機関の夢と現実をお届けしました!
永久機関シリーズ、次回もお楽しみに〜!