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ピサの斜塔は、イタリアの観光地として有名な塔です。この斜塔は名前の通り、若干傾いたまま立っていることで知られています。ここでは、斜めになっている理由と、角度の変遷、そして、なぜ倒れないのかについて解説をしていきます。
ピサの斜塔は、世界的にも有名なイタリアの観光地であり、傾いているという独特の見た目で有名です。
英語では、「the leaning tower of pisa」と呼ばれます。
ピサの斜塔ですが、なぜ傾いているのでしょうか?
ピサの斜塔が傾いている理由は、工事の途中で発生した地盤沈下がその理由です。
ピサの斜塔は、工期を3回に分けて建設されました。その中で、第1工期の終わりの1178年、2階部分まで建てられた際に、重さにより南側の地面が地盤沈下を起こしてしまったのがその始まりです。
この時に工事は中断もされたのですが、結局そのまま工事が続行され、完成に至ります。
ピサの斜塔をよく見ると、一番上の一回り細くなっている部分だけ、よく見ると角度がまっすぐなことに気が付きます。
これは目の錯覚ではなく、実際に一番上の部分だけは地面に対して垂直に作られています。
また、写真からははっきりとはわかりませんが、工事の途中からは倒れることを防ぐために、左右で高さが異なるように建てられているので、実際には微妙に湾曲した形に塔が建てられています。
ピサの斜塔の角度は、長い歴史の中でずっと同じだったわけではありません。
この角度は建設途中で傾き始めたということは述べましたが、それ以降も一定ではなく、角度は大きくなったり(悪化)小さくなったり(改善)します。
とくに、1930年代には地盤に薬液を注入して地盤沈下を防ぐという改良が試みましたが、逆に傾きを悪化させてしまったということがありました。
この時は、傾きは5.5度まで悪化したといわれています。
その後、1990年代から傾きを改善して倒壊を防ぐための改修工事が行われ、現在では3.97度まで角度は小さくなっています。
ピサの斜塔はなぜ倒れないのかという疑問が起こると思います。ここでは、いくつかの理由に分けて解説していきます。
ピサの斜塔は、その歴史の中で何度か傾きを改善するための工事が行われています。
例えば、傾いているほうと反対側の基礎部分に鉛の重りを置くということが実行されていた時期がありました。
これにより、わずかながら改善されたといわれています。
さらに、3階部分にはケーブルが取り付けられ、これを反対の離れた位置に固定することで、倒れないようにする支えとして機能しています。
また、大きく改善に寄与したのは、地面の掘削作業が行われたことです。
この工事は傾いている側と反対側の地面を多少掘ることによって、角度をまっすぐに近づけるというものです。これによって、現在の角度である3.97度に落ち着きました。
これらの努力のおかげで、倒れないまま絶妙な角度を保っているというわけです。
また、ピサの斜塔の建築関係以外の事情として、ヨーロッパはもともと日本のような地震国が少ないことが挙げられます。
つまり、傾いていたとしても地震災害が少なければ、倒れる心配は少ないということが言えるわけです。
じつはイタリアに限って言えばヨーロッパの中では地震が多いほうの国にあたるのですが、それでも日本よりは巨大災害や頻度は少ないです。
また、地盤が傾いたのは地盤が柔らかかったから、と上で解説しましたが、その軟らかい地盤が自身の振動を吸収し、斜塔の倒壊を防いでいるという指摘もあるようです。
軟らかい地盤にも助けられていたとみることができますね。
ピサの斜塔は斜めになっていることで観光資源になっているという面もあるので、完全に垂直にはしないものと考えられます。