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ダーレン・アロノフスキー監督の映画「π」(円周率のπである)。この映画には数学的なネタがちりばめられている。これらを解説する。また、映画の主人公は数学者であるが、この元ネタと思われる人物についても解説する。
主人公の元ネタと思われる人物は2人該当する。
スティーブン・ウルフラムはイギリス生まれ、アメリカの数学者・物理学者。πの主人公とほぼ同じで、10代のうちに最初の論文を書き、17歳で大学を卒業、さらに20歳の時には博士号を取得していた。
若いころにはすでにセルオートマトンでは先進的な研究を行っている。絵に描いたような天才である。
彼は高校のときには、クラスメイトの宿題を変わりに行う代わりに料金をもらう、という形でバイト代でもうけていたという話もある。
また、彼は計算等価性原理 (Principle of computational equivalence) という信念をもっている。これは、「自然界のすべての現象はシンプルなアルゴリズムで再現できる」というもので、映画の主人公の主張に似ている。
映画の暴投では何桁もの足し算や割り算の暗算を瞬時に行うというシーンが出てくるが、これはノイマンが得意としていた暗算である。
彼は電話帳を適当に開いて、出てきた数字をすべて足して遊んでいた、という超人エピソードを持っている。
また、当時の簡易的な計算機を使うよりもノイマンが上を向いて計算した答えが一番早くて正確だったとか、最初の電子コンピュータであるENIACをみて、「自分の次に賢いやつができた」といって笑ったとかいうエピソードが残っている。
数学的なテーマを扱う映画であるので、そのようなねたが数多く登場する。その一部を解説する。
オープニングで円周率が次々に表示されていく演出がなされるが、これはじつは途中から間違っている。この映画の磁気には小数点以下数億桁まで計算できているため、この間違いは意図的なものであろう。
映画では3.1415926526・・・となっているが、
真の値は3.1415926535・・・である。
「完璧なものなどなにもない」というような監督からのメッセージともとれる。
鏡を叩き割るシーンが出てくるが、この割れた後がロジスティック写像のグラフの形になっている。ロジスティック回帰はカオス理論などで有名なグラフである。
「この先の展開がわからない」という監督の演出意図が垣間見える。
映画の終わりに主人公は暗算ができなくなるが、最後のシーンで少女に問われた割り算
724÷238 は、答えを出すと・・・
3.14285714286・・・となる。
これは円周率の近似値として結構近い有理数である。