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こんにちは、今日のテーマは、永久機関シリーズであり、めちゃくちゃ面白い物理ネタ!
その名も……
「マクスウェルの悪魔」!
名前からしてなんかヤバそうじゃない?「悪魔」って!
しかも、コレ、「永久機関(パーペチュアルモーション)」を可能にするかも!? という、物理学の常識を揺るがす存在なのです!
ではさっそく、悪魔の正体と、その可能性、そしてなぜそれが現実には不可能なのかを解説していきます!
ちなみにそんなマクスウェルの悪魔になりきれるゲーム風シミュレーションもあります。
「マクスウェルの悪魔(マックスウェルの悪魔)」は、1867年、イギリスの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルによって提案された、思考実験(しこうじっけん)に登場する架空の存在。
ざっくり言うと、こんな感じ👇
密閉された箱の中に仕切りがあり、それぞれに気体分子がたくさん入っている。その仕切りには小さな扉がついていて、「悪魔」がその扉をコントロールすることで、速い分子だけを片方に、遅い分子だけを反対側に集めれば、勝手に温度差ができる!
え?何それ?
図で見ると、以下のようになります。まず、2個の部屋には早い粒子と遅い粒子があります。真ん中は、小さな扉で仕切られています。
扉を開けると、粒子はその間だけ行き来できるようになります。
これを、わかりやすく例えると…
想像してみてください。
あるラーメン屋に、元気いっぱいの客(=速い分子)と、疲れてのんびりの客(=遅い分子)がいます。
店の中には2つの部屋があり、店員(=悪魔)が一人だけ入口に立っていて、
……と、瞬時に判別して分けていくのです。
その結果、
こうなるとどうなるか?
エネルギーって、普通は「熱は高温から低温へ流れる」ってのが基本。
でも、マクスウェルの悪魔がいると、
外から何のエネルギーを加えなくても、勝手に温度差が生まれちゃう!
ということになります。
そして、この温度差からエネルギーを取り出すことができれば……
そう、永久に動く装置=永久機関が完成してしまうのです!
つまりこの悪魔、やってることは超ヤバい。
熱力学の第2法則(エントロピー増大の法則)を無視しちゃってるわけです。
さてさて、マクスウェルの悪魔が本当にいたとして、
「勝手に温度差を作り出せる世界」が実現したら……一体どうなるのでしょう?
マクスウェルの悪魔自体はいろんなところで話されていますが、実在したらなにができるのか、はあまり深堀りされていないので、考えてみましょう。
マクスウェルの悪魔はつまり、エネルギーを“勝手に”生み出せるってことですよね?
エネルギーさえあれば、私たちはなんでもできちゃいます。
なので、ちょっと妄想してみましょう。
まず最初に思いつくのがこれ!
温度差があれば、熱機関(ヒートエンジン)が使えます。
たとえば、蒸気機関と同じ原理でタービンを回して、船のスクリューを回す。
そう、つまり…
マクスウェルの悪魔エンジン搭載の永久航行船!
エネルギー補給ナシで世界一周!なんなら宇宙まで行ける!?
燃料も原子力もいらない。夢のエコエネルギー!
温度差からタービンを回す → 発電できる → 家の電気が永久にタダ!
・冷蔵庫
・電子レンジ
・スマホの充電
・電気自動車のバッテリー
全部「マクスウェル悪魔式発電機」で補える時代へ!
冷蔵庫の基本的な動作って、
外(常温)から内側(低温)へ熱が移動しないようにして、内側だけ冷やす
というものですよね。
でも実際は、自然に熱は高温 → 低温へ流れるもの。
だから冷蔵庫は、
つまりかなりの電力(エネルギー)を使ってるんです。
でも、もしマクスウェルの悪魔がいたら…?
「内側に遅い分子(冷たい粒子)だけを通すように操作できる」ので、
🔥外側:高温(速い分子)
🧊内側:低温(遅い分子)
をエネルギーなしで自動的に分けられる。
ということは……
つまり、無限冷却装置すらできることがわかります。となれば・・・
それどころか、超低温が必要な実験や量子コンピュータの冷却にも革命的!
でもこれはもちろん、「熱力学第2法則」を破らないと不可能なので、現実ではNGです。
うーん、そこがミソなんです。
物理学者たちも「これマジでアリかも?」って考えたんだけど…
結論から言うと、
「マクスウェルの悪魔」は現実には存在できません。
その理由は色々あるけど、代表的なものを紹介!
さて、おそらくほとんどの人が上の思考実験を聞いて
「でも、現実問題、扉の開け閉めにはエネルギーがいるよね?」と思ったと思います。
その直感は、このパラドックスを解くうえで非常に正しいです。
まず、悪魔は気体分子のスピードを見極めて、扉を開けたり閉めたりしなきゃいけない。
でもそのためには…
つまり、悪魔が「働く」には、必ずエネルギーを使うわけ!
永久機関って、エネルギーを追加せずに永遠に動く装置じゃなきゃダメでしょ?
だからこれはアウト!
さらに現代では「情報=エネルギー」と考えられています。
1980年代、物理学者ランダウアーさんが発表したのがこちら👇
「情報を消去するにはエネルギーが必要である」
つまり、マクスウェルの悪魔が、
といった情報処理そのものに、必ず熱(エネルギー)を使うことが分かっちゃった!
もうこれで完全にアウト!
そう、悲しいけど現実です。
マクスウェルの悪魔は、確かに理論上はとても巧妙で賢いトリックでした。
でも、ちゃんと科学的に分析すると、どこかで必ずエネルギーが必要になる。
つまり、
「熱力学の法則は、やっぱり正しかった!」
という結論に至ったんですね。
でもこの思考実験のおかげで、「情報とエネルギーの関係」とか、「計算に必要な熱」など、現代の情報科学の基礎がどんどん発展していったんです!
実は今でも、ナノテクや量子コンピュータの分野では、「マクスウェルの悪魔に似たシステム」が研究されているんです。
もちろん、永久機関を目指すわけじゃなくて、
などを探求するための「モデル」として!
つまり、悪魔は追放されてない!むしろ今も最前線で働いてる!
(あれ、けっこういいヤツなのかも?笑)
最後に、今日の内容をサクッとおさらい👇
いや〜、マクスウェルの悪魔って名前だけじゃなくて中身もめちゃくちゃドラマチック!
物理って、地味そうに見えて、こういう「考えるだけで矛盾が見える」ってとこが最高に永久機関なんだよな〜!
次回の「実在の永久機関」シリーズでは、さらにディープで不思議なネタをお届け予定。お楽しみに!