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2024年のユーロ(UEFA欧州選手権)では、新しいセンサーを活用した判定システムが導入されており、これの波形が「ルカクの心電図」と言われて親しまれています。ここでは、この心電図の正体と仕組みを解説していきます。
新しい波形が話題になったのはベルギーとスロバキアの試合で、このときルカクのゴールの取り消しがありました。
取り消された自由としては攻撃側のオペンダ選手のハンドということで、その判定の様子が映像でも流れました。
ここで、新しい波形図が画面上に現れ、初めて見た視聴者からは「これはルカクの心電図?」というぐあいにいじられることになりました。
ちなみにオペンダの心電図ではなくルカクの心電図といわれるようになったわけは、ノーゴールになったのがルカクであったこと、ルカクが2022年のワールドカップ以降代表戦でうまくゴールを決められていないことが理由と思われます。
以下では、この心電図の正体を解説していきます。
この心電図のようなグラフはもちろん心電図ではなく、ボールに内蔵された慣性センサー(加速度センサーともいう)の波形です。
今回の大会から、ボール内蔵のセンサーにより加速度が加わった瞬間をグラフで表示して一目で判定することができるようになりました。
この技術はすでに2022年のワールドカップなどでも半自動オフサイドテクノロジーに組み込む形で使われていました。(加速度が加わった瞬間としてボールが蹴られた時点を検出できる)。
今回、それがハンドの判定にも利用されるようになりました。
ここでは慣性センサーの仕組みを解説していきます。また、なぜあのような波形になるか理由を述べていきます。
慣性センサーは加速度センサーともいわれ、文字通り加速度を検知します。
空気抵抗を無視した場合、ボールは垂直方向には重力加速度Gがかかりますが、水平方向には等速直線運動をし、加速度はかかりません。つまり、水平方向の加速度は0です。
縦方向にはGで一定で、横方向には0で一定ということになります。
この加速度に変化がない状態が心電図の下の方の線ですね。
しかし、ボールがけられたり競技者の体に接触した場合は、ボールの方向と速さが変わる、つまり、加速度aが加えられることを意味します。
この時点で、加速度が検出され、その値が心電図のピークとして波形に現れるわけです。
このセンサーを利用することで、これまでは手に当たっているのかどうかはカメラ映像からの目視で行う必要がありましたが、加速度を見ればすぐに判定できるようになりました。
手がカメラの死角に入っていたとしてしても慣性センサーであれば判定できるので、審判の強い味方です。
半自動オフサイドテクノロジー、ゴールラインテクノロジー、ハンド判定の慣性センサー、という具合にサッカーの反則の判定がどんどん機械化・自動化されていくのは時代の過渡期という感じですね。