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こんにちは。今回でついに第4弾、「ヒルベルトの23の問題」シリーズもここまで来ました!今回はいよいよ、ちょっと哲学的で、でも超基本的な問い――
「そもそも2点間の最短距離って、本当に直線なの?」
という問題にズバリ迫っていきます!
「え? 当たり前じゃない?」って思ったそこのあなた。実はこの問題、単なる常識の確認じゃ済まされないくらい奥が深いんです。
ではさっそく、「第4の問題」の中身に潜っていきましょう!
ヒルベルトが1900年に提示した「23の問題」は、20世紀以降の数学の指針とも言われる偉大なリスト。その中の第4問題がこちら:
「直線が2点間の最短距離となるという幾何学的性質を満たす、あらゆる幾何学を記述せよ」
……え、なにそれ。難しそう!って思いますよね。でも言い換えると、こんな感じです:
つまり、「最短距離=直線」という性質を持ちつつも、ユークリッド幾何学とは違う幾何学体系(幾何的世界)を探そう!というのがヒルベルトの投げた問いなんです。
これ、ただの机上の空論じゃなくて、「地球の上では直線は曲がって見える」とか、「宇宙では重力で空間が曲がる」とか、現実の物理学にもつながる超重要な考え方なんです!
ヒルベルトがこの問題を提示したとき、すでに「非ユークリッド幾何学」(リーマン幾何学とか)が知られていました。でもそれらは必ずしも「最短距離=直線」という性質を持っていない。
じゃあどうする?ということで、数学者たちは「幾何の公理をうまく組み合わせて、条件を整理して、いろんな幾何学を分類しよう」と頑張るんです。
特にカギになったのが、「測地線(geodesic)」という概念。
例えば地球の表面のように、平面じゃない場所では「直線」って言いにくいですよね。でも、その代わりに「最短経路」として使われるのが測地線です。
これを使って、「測地線が2点間の最短距離を常に成すような空間(=幾何学)」を探求するのが、この問題の本質。
この問題には明確な「解いた人!」というヒーローはいません。なぜかというと、この問題自体が定義の仕方や考え方によって答えが変わるタイプの問題だからです。
でも、以下の数学者たちが特に大きく貢献しました:
現代では、リーマン幾何学やファンスラー幾何学など、「直線=最短距離」という性質を条件として持つ空間の分類・研究が進んでいます。つまり、完全な「解決」というよりは、今も発展中のテーマなのです。
この問題には明確な「これが唯一の答え!」という結論があるわけではありませんが、歴史的に大きな貢献をした数学者たちが存在します。
問題が発表された翌年、ドイツの数学者ゲオルク・ハメルが初期の形でこの問題に貢献しました。
彼はヒルベルトの幾何学的公理に対して代数的なアプローチを加え、幾何学の枠組みを広げることでこの問題への理解を一歩前進させたのです。
その後、問題の核心に迫る解決が与えられたのは1973年。
ソ連の数学者アレクセイ・ポゴレロフが、この問題に対する「広く認められた解答」を示します。
彼は完備な測地的空間において、2点間の最短距離を与える測地線の存在と性質を厳密に記述し、幾何学的空間の条件を満たす場合の構造を明らかにしました。
この業績により、ヒルベルトの第4問題に対する一つの完成形が数学界で認められることになります。
ズバリ言うと……
「解決したかどうかは定義次第!」
これが本音です。
というのも、「直線が最短距離であるような幾何学を記述せよ」というヒルベルトの問いには、明確な「ゴール」がないんです。
こういった条件設定次第で、答えの見え方も変わってくる。なので“半解決”とも“未解決”とも言える、ちょっとモヤモヤするタイプの問題なんですね。
この問題の最大のインパクトは、「幾何学は一つじゃない!」という視点を定着させたことです。
もはや「世界は平面(ユークリッド幾何学)」という考えは古い!
こういった分野が、「直線とは何か?」「最短距離とは何か?」という問いに基づいた数学によって支えられています。
さらに、公理による数学の体系化(ヒルベルトの目的)という意味でも、この問題は数学基礎論に大きな影響を与えました。
今回のヒルベルトの第4問題は、「未解決」というよりも、「広がり続ける問題」でした。でも、それが現代数学の発展のカギになっているという点で、ものすごく重要なんです。
次回は第5問題!位相群とリー群に迫ります。
ヒルベルトの問題、奥深すぎて本当に帰れません!ではまた~!