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やってきました第3弾!
今回のテーマは、ついに現れた「はっきりとした解決」が得られた問題!しかも、答えは「NO(否定的)」という意外な方向からです。
第3の問題、それは一見すごく素朴な問い:
「底面が同じで、高さも同じなら、四面体の体積も必ず等しくなるのか?」
……いや、等しいんじゃないの? って思いますよね?
実は、話はそこまで単純ではなかったのです。
まずはこの問題が指している「等底・等高な四面体」ってどんなものかを整理しましょう。
つまり、同じサイズの三角形の上に、同じ高さでピラミッドのような形を作ったら…
それは同じ体積になるはず、ってことですよね。
ヒルベルト第3の問題の核心はこうです:
等底・等高な2つの四面体が、互いに有限個の「多面体的なパーツ(合同な部分)」に分割され、それを組み替えてぴったり重なる(=合同)ようにできるか?
要するに、
これは「分割合同問題(dissection problem)」とも呼ばれます。
この問題は幾何学の問題なので、視覚的にもイメージしやすい問題ということができます。
二次元では、等しい面積の三角形は、合同なパーツに分けて一致させることができます。
じゃあ三次元では? というのがヒルベルトの問いです。
等しい面積の任意の2つの多角形は、有限個の合同なパーツ(多角形)に分割して、互いに組み替えることが可能です。
いくつかの図形がセットになっていて、それを組み合わせて多角形とか、家の形とかを作るパズル、子供のころにやったことありませんか?
これを専門的には「ボヤイ-ゲルヴァンの定理(Bolyai–Gerwien theorem)」といいます。
たとえば:
任意の多角形でできるのだから、もちろん三角形でも合同なパーツに分けて組み替えることができる、ということがわかります。
この問題を最初に出したのは1900年のヒルベルトですが、解決されたのはとても早いです。
なんとその年のうちに、オーストリアの数学者マックス・デーン(Max Dehn)が、明確な回答を出します。
「できません(No)」
え!? ってなりますよね。
等しい体積でも、分割して一致させることはできないという、三次元の驚きの現実がここで発覚します。
マックス・デーンが用いたのは、体積以外の“不変量(Invariant)”という発想です。
体積とは別に、「分割しても変わらない量(=不変量)」を見つけ出し、
それが一致しなければ、どんな分割をしても2つの立体は絶対に一致できないという考え方です。
デーンはこの不変量を独自に定義して、
つまり:
という論理的な構造で、この問題は否定的に、でも完全に解決されたのです。
これまで紹介した第1問・第2問では、ゲーデルやコーエンといった歴代の天才たちが
「証明できないことを証明する」という超展開が続いていましたが、ここでついに登場するのが…
🎉 明確なYes/Noの解答が得られた、初のヒルベルト問題!
ただし答えはNo(できません)。
しかも、発表されたその年に解かれるというスピード解決っぷりにも注目です。
この速さはほかの問題では見られないので、1番早かったということになります。
第3問は、単に「体積の話」にとどまらず、三次元空間における分割と合同という概念に新しい視点を与えました。
この問題が残した影響はこんな感じです:
現代でも、「どう分割できるか?」や「どの変換で一致させられるか?」という話は、
などの分野で超重要なテーマです。
つまり、第3の問題はすでに「解決済み」ですが、
そのエッセンスは今も数学の最前線で生き続けているのです。
最後に、今回の内容をざっくりおさらいしましょう!
これで第3問もクリア!
ここまでは数学の根本を揺さぶる問題ばかりでしたが、次回の第4問では…
また新しい地平が開けます。このまま23問、完全踏破を目指しましょう!