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定符号の式を完全平方式で表すとは?ヒルベルトの23の問題全部解説するまで帰れま23(17)

こんにちは〜!帰れま23シリーズもいよいよ第17問に突入!
ここまで未解決ラッシュ、曖昧問題祭り、部分的解決大会が続いてきましたが……ついに来ましたよ!

\✨解・決・済・み✨/

そう、今回のテーマ「定符号の式を完全平方式で表す問題」は、ちゃんと解かれてます!

しかも、ヒルベルト自らも途中まで手をつけていて、最終的に1927年、アルティンによって完全解決
ここから数問はスッキリ爽快な解答ラッシュに入っていきますよ〜!


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💡そもそも「定符号の式」ってなに?

数学っぽい言葉だけど、ちょっと身近に感じられるようにしましょう!

まず「定符号(ていふごう)」とは:

「式が常に正(または負)であること」

たとえば、こんな式を考えてみましょう👇

f(x) = x² + 1

この式、xにどんな実数を入れても必ず正の値になりますよね?
x²は0以上だし、そこに1を足してるから、最小でも1!

つまりこのf(x)は「常に正」な式=正定値関数です。

こういう「符号が一定の式」を、「定符号の式」と呼びます。


✨じゃあ「完全平方式」って?

次に出てくるのが、「完全平方式(sum of squares、略してSOS)」!

これは名前の通り:

「いくつかの式の2乗の和で表された形」

たとえば、こんな感じ👇

g(x, y) = (x + y)² + (2x – y)²

これは完全平方式の例です!

2つの式を2乗して、それを足してるだけ。
どんなxとyを入れても、絶対に負にはなりませんよね?2乗ってそういうもの!


📘問題の内容:定符号の式って全部、分数の完全平方式で表せるの?

では、ここからが本題!

ヒルベルトの第17の問題とは、ざっくり言えば:

常に正(または0)の多項式って、分数の形にしてもいいから、全部「完全平方式」で表せるの?

という問い!

つまり、次のような形にできるのか?ということです👇

f(x₁, x₂, …, xₙ) =
 (p₁(x)² + p₂(x)² + … + pₖ(x)²) / (q(x)² + r(x)² + …)

要は「定符号な式は、2乗の和(分子)/2乗の和(分母)」みたいな形に分解できるの?ってこと。


🧗‍♂️ヒルベルトが部分的にやった!

ヒルベルトはこれを自分で問題にしておきながら、なんとある程度まで解いてしまっているのです!

彼はすでに1893年の時点で、

「正の多項式が必ずしも多項式の和の完全平方式ではないこと」を証明

え!?ダメなの!?

そう、例としてよく出される「モツキンの反例(Motzkin polynomial)」なんかは、常に正なんだけど完全平方式では表せない

つまり、単なる「2乗の和じゃ足りない」場合がある!

そこで彼はこう考えました👇

「じゃあ分数の形にしたらどう?それならうまくいくんじゃない?」

この発想が、第17の問題です!


👑ついに完全解決!エミール・アルティン登場!

そして、1927年——
この問題に立ち向かったのが、ドイツの数学者エミール・アルティン(Emil Artin)

彼はすごかった!

「実数体」や「実閉体」の上で定義された定符号の多項式は、すべて完全平方式の分数式で書ける!

という、めっちゃ強い定理を証明したのです!

🎉つまり、ヒルベルトの第17の問題、完全に解決!🎉

具体的には、「実閉体上の任意の非負多項式は、2乗の和の分数で表せる」という形で定式化されます。

この結果は「アルティンの定理」として、現代でも数学の基本中の基本!


📈ここから「解決ラッシュ」が始まる!

面白いのがここからの展開。
この第17問を皮切りに、なんと次の数問にわたって「ヒルベルトの問題」がどんどん解かれていきます!

ここまで、

  • 未解決問題(第7、8、10、12、16問…)
  • 解釈が曖昧な問題(第6、9問)
  • 部分的な解決止まり(第15問)

など、もやもやが続いてきたヒルベルトリスト。

でも、ここからの問題たちは違う!

✅ 数学者の情熱が炸裂
✅ 理論の発展とともに明確な答えが得られる
✅ 数学史において重要な「ターニングポイント」!

とくにアルティンのこの成果は、

  • 代数幾何
  • 実代数幾何
  • 半順序体論(Ordered Fields)

などの分野に大きな影響を与えました。


🔮第17の問題が残したもの

この問題は、単に「表現できるかどうか」を問うだけでなく、実数の構造や代数的対象をどう解析的に扱うかという、より大きな数学的視野を開くことになりました。以下がその主な功績です。


1. 実代数幾何学への道を開いた

エミール・アルティンによる証明は、「半正定値な多項式は分数の形で完全平方式として表せる」というもの。これにより、

  • 実数体や実閉体における多項式の性質
  • 正値関数と代数構造の関係

を扱う「実代数幾何学」という分野が確立される基礎となりました。


2. 実数体の論理構造と結びついた

アルティンの証明の延長線上にある「アルティン–シュライアー理論」は、実数体における順序、体、代数的構造、論理の関係を整理するもので、後の「実閉体」の概念に深く関わります。

これは後に「実数の論理」や「順序体理論」など、数学基礎論とも接続する広がりを見せました。

3. 応用数学・数値計算にも影響

完全平方式で表せるという結果は、単なる理論にとどまらず、

  • 正定値行列の理論
  • 半正定値計画法(SDP)
  • 最適化理論(特に凸最適化)

など、現代の計算数学・数理最適化にも応用されています。

🧁まとめ:数学の「本気」を見た!

さて、第17問はかなりスッキリ終わりました!

  • 問題の意味も明確
  • 答えもYESとハッキリ
  • 解決者も名指しでわかる
  • その後の影響も大きい

これぞ「理想的なヒルベルト問題の姿」かもしれませんね✨


✍️今回の要点まとめ(箇条書き)

  • 定符号の式=常に正または0になるような多項式
  • 完全平方式=複数の2乗の和で表される式
  • ヒルベルトは「定符号な式を分数の完全平方式で表せるか?」を問いにした
  • 1927年、エミール・アルティンが実数体上での「YES!」を証明し、完全解決
  • この定理は「アルティンの定理」として数学史に刻まれる
  • ここから「解決ラッシュ」が続き、ヒルベルト問題の中でもすっきりした問題たちが登場していく!

いや〜今回の回は本当にスカッとしましたね!✨
次回は第18問!また新しい世界が待っています!

「帰れま23」、まだまだ旅は続くよ〜〜!🛤️
読んでくれてありがとう!また次回でお会いしましょう!

haccle