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7次方程式は2変数の関数で解ける?ヒルベルトの23の問題全部解説するまで帰れま23(13)

こんにちは!
ヒルベルトの23の問題を1問ずつ解説していくシリーズ、今回は第13問に突入です!

今回のテーマは……

🧠「7次方程式の解は、2変数の関数で表現できるのか?」

えっ、それ何がすごいの?って思った方、ご安心ください。
この記事では、「なぜ7次なのか?」「2変数って何の話?」「結局この問題は解けたのか?」を、しっかり分かりやすく解説します!


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■ まず、7次方程式ってなに?

数式で書くとこういう形です👇

x^7+a6x^6+⋯+a1x+a0=0

この「7次方程式」をどう解くか、というのがテーマなんですが、
ここで注目するのは「式の係数」や「解き方」の“関数としての表現”です。


■ なぜ「7次」なのか? 5次や6次はどうしたの?

ここでなぜ7次に注目しているのかを解説していきます。

● 有名なアーベル・ルフィニの定理

中学や高校で「2次方程式の解の公式」を学んだことはありますよね?

実は、3次や4次にも「解の公式」はあるんです。でもそれは、

✖「四則演算と根号だけ」でできるのは4次まで!

それ以上、つまり5次や6次、7次になると「公式による解法」がないのです。
アーベル・ルフィニの定理。

数学をかじったことがある人なら、5次方程式以降には解の公式がない、というのは一度は聞いたことがあると思います。


● じゃあこの問題、何を問うてるの?

5次以上が「根号と四則演算」で解けないのは知ってる。
でもヒルベルトが第13問で問うたのは、こういう方向の問題でした:

「7次方程式の解は、たった2つの変数を使った関数だけで書ける?」

普通の「代数的な解の公式」とは違って、「関数としての解の表現(しかも変数の数に制限あり)」という視点が加わっているんです!


■ なぜ「2変数」にこだわるのか?

数学では、「方程式の解を表すのに必要な変数の数=関数の次元」として考える視点があります。

  • 6次方程式の解は、「2変数」では表せない(3変数以上が必要)ことが判明していた
  • でも、7次方程式はもしかしたら2変数でいけるかも?という希望があった!

これ、ちょっと不思議ですよね?

実際、7次方程式の対称群 S7には、ある構造的な性質があって、
6次よりも「関数としての単純さ」がある…という深い話なんです。


■ 解決までの道のり

● 古典から現代へつながる問い

ヒルベルトがこの問題を出した1900年当時、まだ「関数の複雑さ」や「必要な変数の数」を厳密に測る方法はありませんでした。

でもその後、この問いは以下の分野へと発展していきます:

  • 多変数関数論
  • 代数的関数体の理論
  • 多様体(高次元空間)の幾何学

● ヴェイユの突破(1927年)

フランスの大数学者アンドレ・ヴェイユが1927年に示したのが、以下の結果:

7次方程式の解は、2変数の代数関数で表現できる!

つまり、「ヒルベルト第13問」は部分的に肯定されたということになります!


■ さらなる飛躍:コルモゴロフ・アーノルドの定理(1957年)

1957年、ロシアの若き数学者ウラジミール・アーノルドがこの問題に革命をもたらします。
彼の師匠であるアンドレイ・コルモゴロフとの共同研究で生まれたのが…

🔹 コルモゴロフ=アーノルドの表現定理

これは簡単に言えば:

「任意の連続関数(特に方程式の解)も、2変数の連続関数を合成すれば表現できる」

というもので、ヒルベルト第13問の本質を完全に肯定的に解決したと評価されるようになります!


■ それでも「完全解決ではない」理由

✅ なぜ「部分的解決」扱い?

アーノルドの成果は確かにすごいですが、「連続関数での表現」によるものであり、

  • 代数的関数
  • 解析的関数(実解析や複素解析)

など、より厳しい条件での表現が可能かどうかは、未解決な側面が残っています

だから数学界では、ヒルベルト第13問は「実質的に解決されたが、厳密には部分的解決」とされているのです。


■ 第13問が数学に与えた影響

● 1. 「解の複雑さ」を次元で測る発想

この問題を通じて、数学者たちは「解を表すのに必要なパラメーターの数」という視点を得ました。

これが後の:

  • 多変数関数論
  • 多様体の理論
  • 数学的構造のミニマル表現

につながっていきます。


● 2. 多様体理論・代数幾何への橋渡し

「2変数関数で解けるのか?」という問いが、

  • どの空間上で関数が定義されるか?
  • その空間の幾何的構造は?

といった幾何・代数・解析の融合領域へと発展していきました。


✅ まとめ:第13問のポイント

  • ヒルベルト第13問は、「7次方程式の解を2変数の関数で表現できるか?」という問題。
  • 1927年にヴェイユが2変数での代数的関数表現を提示。
  • 1957年、アーノルドとコルモゴロフが連続関数の組合せで表現できると証明。
  • 「連続関数レベル」では問題は実質解決された。
  • ただし「代数的に」完全に2変数で書けるかは依然として議論の余地がある。
  • 結果として、この問題は関数論・多様体理論の発展に大きな影響を与えた。

次は第14問へ。実はこれも代数幾何学の深〜い問題なんです!

ヒルベルトの夢の続き、まだまだお付き合いください!
ここまで読んでくださってありがとうございました🙌

haccle