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さてさて、ついにやってきましたよ〜
ヒルベルトの23の問題シリーズ、今回でなんと第11問目!お題は……
「代数体上の二次形式の分類」
……うん、タイトルからしてすでに若干むずかしそう。
でも安心してください。この記事では、ガチガチの数学用語をかみくだいて、ポップに楽しく解説していきます!
まずは代数体とか、二次形式などの専門用語を読み解いていき、問題が何を言っているのかを見ていきましょう。
「二次形式」とは、簡単に言うと二次式の“形”のことです。
たとえば:
Q(x,y) = a x² + b x y + c y²
これは二変数の二次形式ですね。
一般に、変数が n 個ある場合は:
Q(x1,x2,…,xn)=∑ij aijxixj
各項が2つの変数の積で、次数が2になっているのがポイントです。
「代数体」とは、有理数(分数)を拡張した数の世界で、有限次元の代数的拡大体のことを指します。
例として:
これらすべてが「代数体」です。
つまりこの問題は、ズバリ:
「いろんな代数体の上で定義される二次形式が、どんな種類に分類されるか?」
というもの。数学者たちが「似ているものは同じグループ、不思議なものは別のグループ」というふうに分類しようとしているんです。
ドイツの天才数学者ダフィッド・ヒルベルトが1900年に出した「23の未解決問題」の中で、
第11問:「代数体上の二次形式を、どのように分類できるか?」
という問題が提唱されました。
そのシンプルさに反して、非常に深い内容を突く問いなのです。
この問題のキモは:
どの代数体を考えるかによって、二次形式の性質がガラリと変わる。
単なる「基底変更」では違いがわからないケースも多く、
整数論や類体論、p進数、局所体、大域体といった高度な数論が登場します。
ここで登場する重要な考え方が、局所–大域原理。
この理論を先導したのが、ヘルマン・ミンコフスキーやアドルフ・フルヴィッツ、そして特に有名なのが……
ハッセが打ち立てたのが、ハッセ–ミンコフスキーの局所–大域原理:
ある二次形式が代数体上で表現できるかどうかは、すべての局所体(例えば Qpや R)で調べればわかる!
つまり局所的にOKなら大域的にもOK、という強力な橋渡しになります。
これにより、有理数体などにおける二次形式の分類は大幅に進展し、問題は事実上解決されたと見なされます。
ハッセのおかげで完全解決した!と思ったあなた……少し待ってください。
ヒルベルトが望んだのは:
というもの。しかし、ハッセの理論が扱うのは、限られた「単純な代数体」「低次の形式」。
例えば:
などになると、局所–大域原理だけでは不完全な結果が出てくる場合があります。
したがって、第11問題は「広範に解明されたが、完全には終わっていない」とされる問題でもあります。
この分類理論は抽象数学にとどまらず、以下の分野へ波及しています:
つまり、現代の数学・情報科学の基盤となっている知見です。
この問題がもたらした功績は多岐にわたり:
最後に要点を簡単に整理します👇
ヒルベルトの問いに答えるたび、数学は「深い問いを解く」だけでなく、「さらに問いを生む」仕組みを育んできました。
第11問も、その壮大な物語の中で“一歩先”に道を拓いた重要な節目です!
次回は第12問!
いよいよシリーズも後半戦。新たな展開にご期待ください🌟