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お待たせしました!
今回はヒルベルトの問題の中でも、「夢があるのに、夢を打ち砕かれた」というちょっぴり切ないけど面白いお話。
ディオファントス方程式とその整数解にまつわる第10の問題を、ポップに、でもしっかり解説していきます!
みなさん、こんにちは!
「整数だけで満たされる方程式に、そもそも解があるのか?」という、一見地味〜だけどめちゃくちゃ深い数学の世界へようこそ!
今回はヒルベルトの第10問題についてお届けします。
まさに「解けた……でもそれって悲しい!?」という衝撃的な話なんです。
「ディオファントス方程式」なんて、聞いたことないよ!って人も多いと思います。
ざっくり言うと、**「整数だけを使って成り立つような方程式」**のことです。
たとえば:
などなど。整数でちゃんと解があると気持ちいいんですよね〜。
1900年、ダヴィッド・ヒルベルトはこう問いかけました:
「任意のディオファントス方程式について、それに整数解が存在するかどうかを判断するための“一般的なアルゴリズム”を作れないか?」
つまり、
「どんなディオファントス方程式でも、ある方法を使えば
『これは解がある』『これは解がない』って必ず判別できるようにしたい!」ということ。
という、今でいう“自動解法ツール”を作りたいという夢のような話だったんですね!これ、めっちゃ便利そうじゃないですか?
さあ、この夢のような問題に挑んだのは、20世紀を通じての数学者たち。
そして次第にわかってきたのが、
「これ、めっちゃ難しい……というか、もしかして不可能なのでは?」
という疑惑。
しかし!
ここで現れたのが、アメリカの女性数学者、ジュリア・ロビンソン。
彼女の業績がこの問題の解決に向けて決定的な道を開いたんです!
ロビンソンは、ディオファントス方程式に関する判定問題を、
計算理論の言葉に置き換えるというアイデアを提唱しました。
彼女は、
との関係性を探り、
「もしこの2つが数学的に同じ意味を持つと示せれば、
ディオファントス方程式が“停止問題”と同じくらい難しいと証明できる!」
と考えたのです。
これを実現するには、「ある種の関数がディオファントス方程式で表現できる」ことを示す必要がありました。
ロビンソンはこの方向に情熱を注ぎ、周囲を巻き込みながら、
マーチン・デイビスやヒラリー・パトナムと協力し、大きな成果を築きます。
このロビンソンたちの研究を受けて、
ソ連の若き数学者ユーリイ・マティヤセビッチが登場。
彼は当時、残された最後のピース、
「任意の再帰的関数はディオファントス方程式で表現できる」
という命題を、たった20歳で証明してしまったんです!
これにより、デイビス+パトナム+ロビンソン+マティヤセビッチの4人による
「DPRM定理」が完成。
そして第10問題は、
「整数解の有無を一般に判別するアルゴリズムは存在しない」
という、否定的な完全解決を迎えたのです。
つまり:
ということなんです。
つまり、永遠に判断できないディオファントス方程式も存在するってこと。
しかもそれは数学的に厳密に証明されてしまったんです。
マティヤセビッチの成果は、それまでの数学者たちの蓄積と、計算理論との融合でした。
「計算機で解けるもの=チューリング計算可能」
というコンピュータ科学の基礎概念を使って、
「もしこの問題がアルゴリズムで判別できたら、チューリングマシンが停止するかどうかを判定できる」
という形に持ち込みました。
でもその「チューリングマシンの停止問題」ってのが、実はもう“不可能”と証明されていた話なんです。
つまり、「判別できない」が確定していた問題に帰着させることで、
第10問題も「判別不可能!」って証明されたというわけ。
ヒルベルトの第10問題は「できたらすごい」話だったけれど、
実際には「できないことがわかった」という形で解決しました。
でもこれ、けっしてネガティブな話だけではないんです!
なぜなら:
という大きな副産物を生んだからです。
この問題は、**「計算という行為には限界がある」**という大事な教訓を数学界にもたらしました。
「数学ならなんでも答えが出る」と思っていた人にはショッキングかもしれませんが、
この“限界”を知ることで、どこを諦め、どこを攻めるかがより明確になったんですね。
現在でも、特定の形のディオファントス方程式に対しては判別可能なケースも多く、研究は続いています。
でも「全部を一発で判定する方法」は永久に存在しない。これは確定。
次回はまた違った角度からヒルベルトの世界を旅していきますよ〜!
「帰れま23」、まだまだ折り返し地点!続きもお楽しみに!