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今回はその中でも、序盤で強烈な存在感を放つ エミシの里の長・ヒイ様の占い を徹底解説します!
「あの枝とか貝殻みたいなのを投げる儀式、結局なにしてるの?」
「完全な創作なの? それとも民俗学的なモデルがあるの?」
そんな疑問を“民俗学の視点”からわかりやすく、そしてポップに読み解きます!
知識が増えると、あのシーンの重みやリアリティが一段深く感じられますよ!
作中のシーンを振り返ると、ヒイ様はアシタカの呪いを調べるために、
といった自然物を手に取り、床にバラバラと投げて散らせます。
その散らばり方や方向を読み取り、こう呟きます。
「西からやってきた……」
ここが非常に重要。
つまりヒイ様は
自然物の落ちた配置から、呪いの方向・正体を読み取る占術
をおこなっているのです。
この時点で、ただの演出ではなく、実際に存在する“パターン占い”に近い手法であることが分かります。
結論からいうと……
完全な創作ではなく、世界のシャーマニズムや日本の古代呪術がモデルになっている。
では、具体的にどういう占いを参照しているのかを見ていきましょう!
ヒイ様の動作の核となっているのは、
物を投げて、落ちた“配置”を読む という手法。
これは学術的には cleromancy(クレロマンシー)=投げもの占い と呼ばれます。
など、ヒイ様が投げている物とほぼ一致!
アフリカ、アジア、北方民族、ネイティブアメリカンまで実例があり、
「散らばり方・向き・重なり」を読み取るのが一般的です。
ヒイ様の占いは 投げもの占いの典型的なスタイル を踏まえています。
次に、古代日本に広く存在した 卜占 の考え方。
卜占とは、
「自然物や現象が示す“形”を読む」
占術の総称で、亀卜(亀の甲羅を焼いてひびを読む)などが有名。
ただし卜占はもっと広く、
ヒイ様の行為は、この “配置を読む” という卜占の精神 を受け継いでいると言えます。
ヒイ様が語気を強めて言う、「西から」というセリフ。
これこそ、古代の 方角占い(カタ占い) の典型的な表現。
古代日本では、
災厄・精霊・呪いは方向性を持つ
と考えられていました。
陰陽道の思想にも通じ、
「どの方向から災厄が訪れたか」
は占術の中でも非常に重要。
ヒイ様が方向を読み取っているのは、
まさに“方角を霊的な情報として解釈する” カタ占いそのものです。
日本の各地には次のような占いが実在します。
これはヒイ様が投げている“コツコツした小さな自然物”と完全に一致。
宮崎駿がこうした民俗を参考にしているのは、ジブリ作品を知る人には有名な話です。
ここまでの要素をまとめると、ヒイ様の占いは……
投げもの占い
× 卜占(形態を読む)
× 方角占い(西を読む)
× 木の実占い(自然物を使う)
+ シャーマン的霊感(読み取り)
という 超ハイブリッド占術 です!
宮崎駿作品は、実在の文化や民俗を巧みに混ぜることで、
“ファンタジーなのに妙なリアリティ” を生み出しています。
ヒイ様の占いはその好例です。
ヒイ様の占いは、実在の複数の民俗占術をミックスした“リアルな創作”。
明確に「西からの災厄」を読み取っているのも、古代日本の方角観に基づく演出であるといえます。