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映画の『白鯨』および『白鯨との闘い』は、実際にクジラと捕鯨船の間で起こった事件が元ネタ・モデルになっています。ここでは、その事件について解説していきます。
実在する白いクジラに関してはこちら↓
映画『白鯨』は、メルヴィルの代表作『白鯨（Mody-Dick）』が原作です。
一方で、『白鯨との闘い』のほうでは、原作は『復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇(“In the Heart of the Sea－The Tragedy of the Whaleship Essex－”）』という作品です。
ですが、後者のほうは、実はメルヴィルが「白鯨」を書くまでの経緯をストーリー仕立てにしたノンフィクション作品なので、実質どちらも「白鯨」を原作にしていると考えてよいです。
よって、以下、『白鯨』の元ネタになった事件について解説していきます。
白鯨の元ネタになった実際の事件は、「捕鯨船エセックス号沈没事件」という捕鯨船が絡んだ事件が元ネタとなっています。
エセックス号は、1799年に進水したマサチューセッツ州ナンタケット出身のアメリカの捕鯨船でした。
概要としては、1820年、南太平洋を航海中に、この船は白いマッコウクジラの攻撃を受けて沈没しました。
その時のイラストもスケッチで残っています。
南米の海岸から何千マイルも離れたところに食料も水もほとんどなく、21人の乗組員は船に残っていたボートで陸地を目指すことを余儀なくされました。
乗組員たちは重度の脱水症状、飢餓などに苦しみ、最終的に生存者たちは死亡した乗組員の遺体を食べざるを得ない状況に陥ります。
エセックス号沈没から 3 か月以上後、8 人の生存者のうち最後の 1 人が救出されるまでに、7人の乗組員が犠牲になっています。
のちに、生き残った船員である一等航海士のオーウェン・チェイスと客室乗務員のトーマス・ニッカーソンはこの事件の記録を書きます。
これが元となってハーマン メルヴィルは1851年の有名な小説『白鯨』を書きました。
始めに白い鯨を目撃したのはチェイス一等航海士でした。
彼は、エセックス号で損傷した捕鯨船を修理していたところ、異常に大きなマッコウクジラの雄（体長約26メートルと伝えられている）が奇妙な行動をしているのを目撃しました。（ちなみにマッコウクジラの雄の体調は１６メートルから１８メートルが通常です。）
鯨は始め、船に面した水面上で動かずに横たわっていましたが、浅く潜って速度を上げながら船に向かって泳ぎ始めました。
クジラはエセックス号に体当たりし、船体を左右に揺さぶった後、彼女の下に潜り、船の右舷側に接近して浮上した。頭は船首の横に、尾は船尾の横にあり、動かず、呆然としているように見えました。
チェイスは、鯨が近くにいることを利用して、甲板から銛で突き刺そうと考えますが、鯨が反撃をした場合に、船がつかえなくなることを恐れ、ためらいます。
その後、クジラはまた動き始め、船の前方数百ヤードを泳ぎ、船首の方を向いた直後、通常の2倍の約24ノット（時速44キロ）の速度で接近してきました。
そして、船の側面と選手に強烈な体当たりと尾びれによる攻撃を食らわせて材木を破壊しました。
クジラは船首を押しつぶして船を後退させ、最後には砕けた材木から頭を外して泳ぎ去り、二度と姿を現すことはなく、エセックス号は船首からすぐに沈んでしまいました。
チェイスと残りの船員たちは、唯一残っていた捕鯨船に必死に修復しようとしますが、結局はボートでの脱出を余儀なくされます。
結論から言うと、クジラの攻撃の原因は不明なようです。
いくつかの説としては、最初に船に偶然衝突したのではないか、というものや、あるいは損傷した捕鯨船を修理するために板を釘で打ち付けていた際に、ハンマーの音で好奇心が刺激されたのではないかという説、群れを守ろうとした説もあります。
事件を生き残った一等航海士オーウェン・チェイスは1821年6月11日にナンタケット島に戻り。4か月後、彼はこの災害についての報告書、「クジラ船エセックス号の最も異常かつ悲惨な難破船の物語」を完成させました。
ハーマン・メルヴィルは、これを小説『白鯨』（1851年）のインスピレーションの1つとして使用しました。
白鯨はてっきり創作上の話だと思ていたので実際に鯨との戦闘があったことが驚きでした。