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こんにちは、今回は、あの人気作品『鋼の錬金術師(ハガレン)』に登場する東方の神秘的な技術、「錬丹術(れんたんじゅつ)」について取り上げてみようと思います!
というのも、アニメや漫画ではしばしば現実世界の思想や宗教、哲学がモデルになっていることがありますよね。ハガレンも例外ではありません。特に「錬丹術」は、実際に古代中国に存在した“錬丹術(煉丹術)”や風水思想をヒントに、独自のファンタジー世界として再構成されています。
「気」や「龍脈」といった用語、気功のような体術、そして神秘的な治癒能力……本当に全部が古代中国の術に実在するのでしょうか?
今回は、作品内の錬丹術と、現実の錬丹術をガチで比較してみます!
『鋼の錬金術師』では、物語の後半に登場する東方の国・シン(Xing)からやって来た登場人物たちが使用する技術が「錬丹術」です。
西側世界(アメストリス)では「錬金術」が主流なのに対し、シンでは独自に発展したこの術を使っています。
物質の変換や破壊を得意とする錬金術と違い、錬丹術は治癒・探知・感知などに特化しているのが大きな特徴です。
では、まずはハガレン作中の「錬丹術」の特徴をざっくりと紹介しておきましょう!
錬丹術の描写には、どこか中華幻想や古代医学のような神秘的な雰囲気が漂っていますよね。
さてここからが本題。作品中の錬丹術は、現実世界に実在した「錬丹術(煉丹術)」とどのくらい近いのでしょうか? 比較しながら見ていきましょう。
実在の錬丹術は、中国古代における道教思想の一分野です。
主に以下の2種類に分類されます。
はい、これは完全に事実です!
道教の錬丹術は、古代中国医学と深く結びついており、五行思想や経絡理論、気の流れなどをベースに人体を整える技術として発展してきました。
とくに内丹術では、気が滞ると病気になる、気の流れを良くすると体が治るという考えがベースにあります。
実際、中国医学(中医学)では今でもこの思想が生きており、「気功」や「経絡治療」は錬丹術から派生したとも言えます。
これも本当です!
外丹術では、金・水銀・硫黄などを混ぜ合わせて、「丹」と呼ばれる薬を作っていました。
ただし、歴史的には水銀中毒で死亡した皇帝が多数いたという闇の歴史もあります(笑)。
有名な始皇帝も、「不老不死の薬」を探し求めて徐福を日本に派遣したほど執着していました。
「気」は、錬丹術における最重要要素です!
つまり、「鋼の錬金術師」における“気の流れを読んで敵の攻撃を予測する”や、“気を整えて回復を促す”という描写は、非常にリアルな錬丹術の応用的な表現です!
ここがポイント!
「龍脈」という言葉は、道教の錬丹術にはほとんど出てきません。
これはどちらかというと、風水(地理風水)に属する概念です。
風水では、山や川の形、地形の起伏を「龍」に見立てて、「気」が流れるルートを「龍脈」と呼びます。
良い龍脈に墓や家を建てると、子孫繁栄や運気上昇があるとされます。
つまり、「地中の龍脈からエネルギーを吸収して術を発動する」というハガレン的な設定は、実在の錬丹術というよりも、風水のアイデアを合成した創作的要素です。
作中では、シンの錬丹術について「西の賢者が伝えた」という言い回しが登場します。
これは、西洋の世界(アメストリス側)から伝えられたような成り立ちが示唆されていると捉えることができます。
でも――実際の歴史をひもといてみると、中国の錬丹術(煉丹術)は、西から伝わった技術ではなく、純然たる“内発的文化”です。
つまり、もともと中国の中で発展し、多くの道士や医師、仙人たちが代々研究・継承してきた伝統的な体系なんです!
中国の道教思想や神仙思想の中で、早くから「不老不死」や「気の流れ」「精・気・神の鍛錬」といった概念が重視されていました。こうした流れの中から、錬丹術は生まれ、体系化されていきます。
たとえば、以下のような人物が錬丹術の開祖・大家とされています:
この書物は、現存する中国最古の錬丹術の書とも言われており、「五言詩」の形式で書かれています。
タイトルの「参同契」は、「天(周易)」「地(陰陽)」「人(錬丹)」の三位一体の調和を意味し、非常に象徴的な世界観が展開されています。
このことからも分かる通り、錬丹術は外来思想や伝承に依存せず、中国内部で独自に成熟した精神文化の結晶だということが分かります。
ここまでを見てきてわかる通り、『鋼の錬金術師』の錬丹術は、以下のように構成されています:
このようにして、ハガレンの錬丹術は歴史的・思想的リアリティを持ちながらも、完全オリジナルの術体系として成立しているのです。
これは作者・荒川弘先生の文化的リサーチと世界観構築の妙といえるでしょう!
いかがでしたか?
アニメの中の不思議な術も、実は現実にあった思想や歴史がベースになっていると思うと、より一層楽しめますよね!