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鋼の錬金術師は錬金術を題材としたダークファンタジーものであるが、その時代背景には現実の歴史が参考にされている部分もある。この時代背景を解説する。
時代背景については、公式に語られている部分もあり、また作中の描写からもいくらかうかがえる。
作者の荒川弘氏は、鋼の錬金術師の時代背景について公式ガイドブックのインタビューのなかで次のように語っている。
作中の描写では、乗り物としては蒸気機関車が使われているほか、石炭を金塊に変化させるという描写がみられるので、産業革命のあとのような時代であったことと符合する。
ただし、通信手段としては電話が普通に普及しており、このあたりは電気事業が発達していった時代とミックスしていると考えられる。
産業革命の時期にイギリスで錬金術は存在していたのか?という疑問については、かなり末期的な状況だったものの、ギリギリ存在していた、というのが正しいようである。
この時期には「錬金術によって金を錬成した」、という実験にたいして、科学者による委員会が調査をした、という事例が残されている。この出来事はだいたい18世紀の末ごろおこった。
産業革命が錬金術によらない科学の結実したものであったこともあり、この時代を最後にして錬金術は歴史の表舞台から姿を消す。
主人公たちが旅をする国である「アメストリス」は、周辺国家との軋轢を抱えており、これもイギリスに置き換えて考えることはできなくはない。ただし、イギリスは島国であるが、アメストリスは完全に内陸国であることが異なる。
北の大きな国、ドラクマはロシアがモデルになっていると考えることができる。
実際、19世紀の初頭、1830年代にはちょうど緩衝地域にあたるアフガニスタンにてロシアとイギリス軍の衝突が起きている。このころはロシアは風刺画などで熊として描かれることが多く、ドラクマの国名とも符合するとも考えることができる。
シン国はアメストリスの東の、砂漠のさらに向こう側の国である。
イギリスの大使マカートニーが皇帝に謁見したのが1793年のことなので、この時代とも考えることができる。
作中の暦として、大陸歴という暦がつかわれている。これは、我々が使っている西暦とは違うもののようである。物語開始時点では大陸暦は1914年であり、これを西暦としてみると錬金術はとっくになくなっている時代であるが、電話などの電子的な通信手段は普及している時期であるので、そうかんがえれば無理はない。
鋼の錬金術師の時代背景を解説した。また、当時のイギリスの外交関係なども確認した。