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2003年、突如としてネットを騒がせた謎の男──アンドリュー・カールシン。
「2256年から来た未来人で、インサイダー取引で一瞬にして巨万の富を築いた」なんて話が、当時あちこちで真面目に語られていたって知ってましたか?
しかもそのニュース、アメリカのタブロイド紙『Weekly World News』がでっち上げた完全なフィクション。
……にもかかわらず、「これは本当の話かもしれない」と信じた人が世界中に続出し、今なお“都市伝説”として語り継がれているんです。
というわけで今回は、その虚構ニュースの全貌と、なぜここまで信じられてしまったのか、そしてアンドリュー・カールシンの「現在(?)」までを、ちょっとポップに振り返っていきましょう!
事の発端は2003年。
Weekly World News(WWN、ウィークリーワールドニュース)によると、アンドリュー・カールシン(Andrew Carlssin)という名の謎の男が、なんと800ドルをたった2週間で3億5,000万ドルに増やしたというのです。
当然、証券取引委員会(SEC)は「こいつ、どう考えてもインサイダーじゃね?」と疑って逮捕。ところが彼は取り調べでこう語ります。
「実は2256年からタイムトラベルして来たんだ。未来の株価は全部知ってる。」
……って、そんな都合いい話あるか!と思いきや、これが信じられてしまったんですね。
カールシンは「未来の病気の治療法」「オサマ・ビンラディンの居場所」なども知っていると語り、未来の情報を渡すという取引をし、その見返りに保釈を求めた──なんて、映画でもやらないレベルの展開。
もちろん、これは全部でっちあげです。
さて、問題の発信源『Weekly World News』。これはアメリカで人気だった、いわゆる“ジョーク新聞”です。
代表作には「バットボーイ(コウモリの顔をした少年)」「宇宙人が大統領選に介入」「地球空洞説が真実だった」など、ツッコミ待ち全開の記事がズラリ。
もちろんアンドリュー・カールシンも、この“ネタ枠”のひとつ。
とはいえ、WWNのクオリティは“悪ノリ”の域を超えていて、ちょっと本当っぽく読めるリアルなディテールと、ふざけたオチが魅力なんです。
カールシンはWWN初のタイムトラベラーではありません。他にも数々の“時空の旅人”が登場しています。
もちろんここでまとめたニュースも、WWNによるジョーク記事です。アンドリューカールシンの事例に比べて、笑えるジョークであることがよりわかりやすいニュースにはなっています。
ある科学者チームが「月曜日だけを時間から削除するマシン」を発明。でも実験すると、月曜日はしぶとく戻ってきた……というオチ。
記事によると、ジョージ・W・ブッシュが南北戦争時代に飛び、自由を守るため戦ったとか。本気か⁉
未来で地球滅亡を目の当たりにした女性が、1995年に戻って警告を発した……が誰にも信じてもらえなかった、という切ないストーリー。
さて、この手の“ぶっ飛び話”は笑い話で済むのが普通です。なのに、なぜカールシンだけ「実話」として扱われてしまったのか?
その理由はズバリ、情報の誤引用とネットの拡散力です。
WWNの記事を面白がって取り上げた個人ブログや掲示板が、記事元を明記せずに転載。それを見た別のサイトが「事実」と勘違いし、さらにはYahoo!ニュースなど一部の大手ニュースポータルまでが取り上げてしまったんです。
さらにSECやFBIなど、実在機関の名前が出てくるもんだから、余計に「リアルっぽい!」と錯覚する人が続出。
そのままネットミーム化し、YouTubeや都市伝説系チャンネルでも定番ネタに。気づけば、「未来人アンドリュー・カールシン」は一人歩きしていたのです。
また、顔写真が出回っているのも信憑性を上げた要因であると思われます。
この時期にはCGやAIも出回っていなかったでしょうから、アンドリューカールシンが本当にいるとより誤解させたと考察できます。
もちろん、アンドリュー・カールシンという人物は実在していません。
なので、現在どうしているか……なんて話も存在しようがありません。
でも一つだけ言えるのは──
「彼はネットの中で“永遠に有名人”になった」
ということです。
都市伝説好きや陰謀論ファン、ネット民の間では、「未来人といえばアンドリュー・カールシン!」というぐらいの知名度を誇る存在になりました。
彼が現実には存在しないからこそ、消えることもありません。
最後に、アンドリュー・カールシンの伝説と、それが示す現代の教訓をサクッとまとめます。
アンドリュー・カールシンは存在しない。
でも、彼の話を信じてしまった私たちの方が、「物語の中」にタイムトラベルしていたのかもしれません。
嘘から出た都市伝説――あなたは、どこまで信じられますか?