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こんにちは!今回は、文豪・芥川龍之介と「ドッペルゲンガー」の関係についてご紹介します。
「芥川龍之介がドッペルゲンガーを見たって本当?」
「彼の小説にその体験が描かれてるって、どれ?」
そんな疑問をお持ちの方へ。
この記事では、芥川がドッペルゲンガー体験をもとに書いたとされる小説 『二つの手紙』 と 『歯車』 を解説します!
まず、「ドッペルゲンガー」とは何でしょう?
ドッペルゲンガー(Doppelgänger)とは、自分とそっくりな分身、もう一人の自分を意味するドイツ語です。
古くから「自分のドッペルゲンガーを見たら死が近い」とも言われる、不気味な現象。
そして、実は芥川龍之介もこの「ドッペルゲンガー」を実際に見たことがあるとされているのです!
彼は知人から「ドッペルゲンガーを見たことがあるか」と尋ねられた際に、こう答えたと伝えられています。
「あります。私のドッペルゲンガー(二重人格)は一度は帝劇に、一度は銀座に現れました」
さらに錯覚か人違いではないかと聞かれ、以下のように答えます。
「そういってしまえば一番解決がつき易いですがね、なかなかそう言い切れない事があるのです」
その言葉からは、彼の中で“自分の分身”を見るということが、単なる幻想では済まされないほどの、強烈な体験だったことがうかがえます。
以下では、芥川龍之介のドッペルゲンガーに関する逸話とエピソードを解説します。
まずは芥川龍之介の作品でドッペルゲンガーを書いた作品があるのでそれを紹介します。
芥川が書いた“ドッペルゲンガー文学”の代表作といえば、『二つの手紙』 です。
この作品は、青空文庫の『二つの手紙』で誰でも読めます。
この作品は、ある教師が体験した恐怖の記録を、警察への手紙という形式で綴るエピストラリー・スタイル(書簡形式)の短編。
物語は「私」と名乗る男が警察に宛てた2通の手紙で構成されています。
1通目の手紙では、
彼が演芸場で自分と瓜二つの人物(ドッペルゲンガー)を目撃したことから始まります。
次に見たのは、駅のホーム。
さらに次は自宅の玄関前で――
目撃のたびに、ドッペルゲンガーがどんどん近づいてきます。
そして、このドッペルゲンガーは彼だけではなく彼の妻のものも現れます。
これは偶然ではない。
このままでは何かが起きる――
そうした不安が募る中、2通目の手紙で物語は衝撃の結末へと向かいます。
(※ネタバレは避けますが、かなり不吉な終わり方です)
なお、この作品中では「ドッペルゲンガー」はドイツ語の発音に倣い「ドッペルゲンゲル」と表記されています。
また、作中では以下のような歴史上の“ドッペルゲンガー体験者”の事例も引用されています。
ドッペルゲンガーの実例として、まず有名な人物
のエピソードを出して具体性を出しています。これらは実際にエピソードが残っている例の中でも有名なものです。
そして、さらに10例ほどもドッペルゲンガーの歴史上の実例が列挙されていきます。
歴史的実例を交えて、リアリティと不安感を高めているのが特徴です。
これだけのエピソードを集めていたということは、芥川本人がドッペルゲンガーに対して非常に大きな関心を持っていたことにほかなりません。
この小説では、ドッペルゲンガーが出現する場所がだんだん「身近」になっていきます。
これは、外から内へ、不安や死の気配がどんどん“自分の中”に入り込んでくることの象徴と考えられます。
この順番、なにかに似ていませんか?そう、実際に芥川が経験したドッペルゲンガーの登場場所(帝劇、銀座)とそっくりです。
芥川のもうひとつのドッペルゲンガー作品とされているのが、晩年の傑作 『歯車』 です。
この作品は、精神的に追い詰められた男が、街で「不気味な幽霊」のような人物を何度も目撃するという話。
物語に何度か登場するのが、「レエン・コオト(レインコート)を着た幽霊」。
この男はまるで幽霊のように現れては消え、「私」をぞっとさせます。
最終的に、語り手の義兄が列車にひかれて亡くなるというニュースが知らされます。
レエン・コオトの幽霊は、義兄の死を予見させるような存在として描かれています。
この「男」は、「私自身のドッペルゲンガー」ではなく、亡き義兄のドッペルゲンガーではないかという解釈が有力です。
実際に芥川の義兄も保険金をめぐるトラブルから命を絶ったとされており、それがこの作品に強く投影されています。
芥川自身、精神的に非常に追い込まれていた時期の作品であり、ドッペルゲンガーは自己崩壊や死の予兆として描かれているのです。
最後に、この記事のポイントを箇条書きでおさらいしましょう!
芥川龍之介の作品に現れる「ドッペルゲンガー」は、単なる怪奇ではなく、深層心理の不安や死の影を象徴する存在として描かれています。
文学好きの方は、ぜひ『二つの手紙』を実際に読んで、その静かでじわじわ来る恐怖を味わってみてくださいね……。